鹿児島県最南端の与論島(与論町)で、観光客が島内を巡りながら参加するリアル「人生ゲーム」が人気を集めている。7月20日のスタート以来、450人が参加。ヨロン島観光協会は「反響は予想以上。観光名所以外に参加者が訪れるようになり、島に活気が生まれている」と話している。
ゲームは島の4地点に置かれた直径1メートルのルーレットを回し、各ポイントへ進む。移動手段は専用バスやレンタカーなど。ゴール到着までの速さを競うのではなく、最終的な所持金の増減でスリルを味わうシステム。
島は昨年8~9月に相次いだ大型台風で大きな打撃を受けたことから、町商工会などが復興プランを検討していた。青年部長の本園秀幸さん(40)が、玩具大手・タカラトミーのボードゲーム「人生ゲーム」の丸いルーレットと、与論島の形が似ていることに気付き、島を舞台にしたゲームで観光客を呼び戻せると発案。知人を通じタカラトミーの協力を得た。
参加者は観光協会で500円を支払い、ゲーム上の通貨「ヨロン$(ドル)」に“換金”。地図に従い、ルーレットなどが置かれた商店など計4カ所を好きな順番で回る。ルーレットの出た数で、その場に置かれたボードのマスに書かれた指示に従う。
ボードは本家の「人生ゲーム」と比べて色使いなどがそっくりで、内容は「島で唯一の信号機でまさかの信号待ち。1000ヨロン$払う」「ダイビングで沈船を発見、お宝を手に入れる。2000ヨロン$もらう」「おばあちゃんに方言で話しかけられたが、完全に意味不明だった。1000ヨロン$払う」…。どれも与論島にちなんでいる。
5000ヨロン$からスタートし、最高で1万1000ヨロン$(1100円相当)、最低は1000ヨロン$。残高分だけ島内の飲食店などで使える商品券がもらえる。観光協会によると、これまでの最高は1万ヨロン$だという。9月16日まで。
▽人生ゲーム米国で1860年に発祥。日本では1968年に「タカラ」(現タカラトミー)が発売。ルーレットを回し、出た目に従いながら、おもちゃの車や紙幣を使って就職や結婚など“人生”を歩む。日本発売当時は高度経済成長期で、億万長者への夢を託すゲームとして爆発的ヒット。その後、石油ショック、バブル経済と破綻など世相を反映させながら「平成版」など姉妹品も登場。アニメや、芸人人生を歩む「吉本興業」とのコラボ版もある。シリーズ商品全体で累計売り上げは1200万個。